「好き」をかたちにする力──PERNAディレクター・ayaが語る帽子と私
2025.09.26
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帽子ブランド「arth」とファッションディレクター・ayaさんの初コラボで生まれた、特別な冬の帽子。
普段からarthを愛用するayaさんに、「本当にかぶりたい帽子」を形にしたこだわりやインスピレーションについて、たっぷり語っていただきました。
ー ayaさんについて教えてください。これまでの経歴やブランドを始めるまでの経緯についてお聞かせいただけますか?
私は現在、レディースブランド〈PERNA〉 のディレクターを務めて6年目になります。昨年からは新たにジュエリー・ライフスタイルブランド〈mut〉 も立ち上げ、今は2つのブランドを運営しています。ディレクターを務めることになったきっかけは、ZOZOTOWNの「ブランドをつくりませんか?」というオーディション広告。直感的に「これだ!」と感じ、思いのままに熱意を文章にぶつけて応募しました。後から担当者の方に「応募者の中で一番文章量が多くて、目立っていた」と言われたことを覚えています。
PERNAを始める前は、結婚や子育てもあって、自宅でアクセサリーを作ったりしていました。「探すよりも作った方が早い」と思うタイプで、自分用やオーダーを受けて手づくりしていたんです。でも、洋服づくりの経験はまったくありませんでした。だからPERNAを始めたのは本当に特殊なスタートだと思います。
ブランドのコンセプトは「高身長の方でも着られるマキシ丈のもの」。自分が欲しいものを素直に形にしたのがはじまりでした。
ー ayaさんがディレクションされる上でのインスピレーション源や、いつも大切にされていることはありますか?
基本的には本当にインドアで。漫画やアニメ、映画、それに音楽…。外に出て何かを探すより、一人で過ごす時間が好きなんです。お気に入りの喫茶店でマダムのお洋服やかわいい食器を眺めたり、その余韻のまま帰り道にドライブをしている時にふとアイデアが広がったりします。
アイデアが生まれるのは、自分が満たされている時か、逆に何かが足りないと感じて枯渇している時。それから…締め切りですね!期限があると、不思議とアイデアが出てくるんです。
それと、もともと古着が好きなので「自分が着なくなっても、また誰かが着てくれるような服」であることを意識しています。長く愛されるデザインであること。そこは常に大切にしています
― 今回、arthとのコラボを決めた理由は?
実は何年も前から展示会に行かせてもらっていて、個人的にオーダーもしていました。私服でも一番使っているのがarthの帽子なんです。だからオファーをいただいたときは本当に嬉しくて、隣にいた夫にすぐ自慢しました(笑)。
それと同時に帽子をちゃんと作るのは初めてで「できるかな?」と不安もありましたが、そこから企画を考えること自体がとても楽しかったですね。
ー 今回のコラボアイテムそれぞれの魅力を教えてください!
まずこのニット帽は、子どもの頃の記憶から生まれました。小学生のときに持っていた、三つ編みのついた素朴なニット帽。それをふっと思い出し、大人になった今の感覚を重ねて膨らませたんです。耳が冷えないように耳当てをつけたり、イヤリングが隠れてしまっても可愛いようにリボンをつけたり。懐かしさと今っぽさをミックスしています。
次のキャップは、昨年arthで購入した耳当て付きキャップがとても良かったことがきっかけで。それをさらに暖かく、ちょっと“過剰”に進化させました。三つ編みもつけて、キャップとしても耳あてとしても楽しめる「欲張りセット」に。お洋服でも着回すことが好きなので、PERNAと同じように、着回しやアレンジができるデザインを意識しました。イヤーマフの手触りがとにかく気持ちよくて、首元につけると洋服っぽさも楽しめるんです。
そしてイヤーマフ。これは「こんなのあったらいいな」と思って提案したアイテムで、実際に企画が通ってすごく嬉しかったです。よくあるアーム付きではなく、耳だけを覆うイメージを形にしました。アジャスターでサイズ調整ができるので、帽子の下に忍ばせてもOK、アクセサリーのようにつけてもOK。小顔効果も期待でき、締め付けないので耳や頭が痛くならず、普段耳あてをしない方にもぜひ試してほしいです。使わない時にはさっとしまえて、バッグに入れたときに絡まらないように、持ち運びに便利なポーチも付けました。
ー コラボアイテムを制作のなかで一番こだわったポイントを教えてください。
「耳を守ること」と「三つ編み」です。私自身、寒い冬に耳が冷えるのがとても苦手で、耳を温めてくれるシリーズにしました。あと、冬はどうしてもコートに隠れてスタイリングがなんとなくルーティーン化しがちだと思うのですが、胸下まで垂れる三つ編みがアクセントになってくれるので、今年はマフラー代わりの新しいスタイリングのバリエーションとして楽しんでもらえたらと思っています。きれいめにもカジュアルにも合わせられるので、帽子初心者の方にもぜひ挑戦していただきたいです。
ー 普段のスタイリングに帽子を取り入れるときのルールやマイルールは?
基本は洋服を決めて鏡の前に立つ時に合わせます。ワンピースが多いので、甘くなりすぎたら帽子でバランスを取ることも。髪がまとまらない時も助けてくれるし、旅行やドライブにはかぶらなくても必ず持って行きます。あと季節ごとにかぶりたい帽子もあって、そういう時は帽子を主役にコーディネートを考えることもありますね。
ー 最後に、このコラボアイテムを手にする人へ、どんな気持ちを届けたいですか?
まずは耳元の暖かさを実感してほしいです(笑)
帽子って、最初から「自分には似合わない」と思い込んでいる方も多いのかなと思うのですが、「帽子は似合わない」と思っている方にこそ挑戦してもらいたいです!想像以上にスタイリングの幅が広がるはずです。
今回の長い三つ編みは、髪が短い方がかぶると“長い髪気分”を味わえるのもポイントなんです。私にとって三つ編みは、童心とか平和の象徴みたいなもの。子どもの頃、お気に入りの帽子をなにも気にせずかぶっていて、それが相棒みたいな存在だった記憶があって。その感覚を思い出させてくれるのが三つ編みなんです。
だから帽子は誰かのためにかぶるものではなく、自分のためにかぶっていいし、そうやって過ごす時間は、きっと特別なものになると思います。みなさんにとっても、自分のルーツをふと思い出すきっかけになったら嬉しいです。